カクテルという言葉が無く、その楽しみ方がまだ世界に広まっていない時代に、メキシコの港町の酒場でひとりの少年がカクテルを作っていました。グラスの中に入った氷と何種類かの液体を、綺麗に研がれた木の枝で混ぜていました。この木は今ではマドラーと言われる道具ですが、その見た目がおんどりの尻尾のようであったことから、少年はスペイン語でコーラ・デ・ガジョ（Cola de gallo＝おんどりのしっぽ）と愛称を付けて呼んでいました。ある日、酒場にイギリス船員がやってきました。少年はいつものように木の枝でカクテルを作っていると、その珍しいドリンクがとても美味しそうであったので、イギリス船員が「それは何？」と聞きました。少年は木の枝のことを聞かれたと勘違いし、「これはコーラ・デ・ガジョと言います」と答えました。イギリス船員はその珍しい飲み物のことを「おんどりの尻尾」だと勘違いし、以来、MIXされたドリンクのことを「テール・オブ・コック」＝(おんどりの尻尾)と呼ばれるようになりました。やがてそれがカクテル（Cock=おんどり tail=尾）と呼ばれ、世界に広まりました。このおとぎ話のようなストーリから想像できる世界を、私たちはとても好きになりました。カクテルがまだ広まっていない時代に、少年はどんな気持ちでカクテルを作っていたのか。

・これとあれを混ぜたら美味しくなるかも、という追求心や挑戦心がある。
・お客様に美味しいものを作れる調整力や編集力、スキルがある。
・道具を綺麗に大切に扱って、自分で愛称までつけるお茶目さがある。
・当時は珍しいものであったカクテルが、100年以上経った今も愛されている。
・その新しい普遍や王道を当時から作っていた先駆者である。

当時の少年のような気持ちで料理やカクテルを作っている楽しいレストランを作りたい。そんな想いで私たちは、その少年の在り方やストーリー、想いをエッセンスにしたOndoriO(オンドリ尾)という言葉を作りました。